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■ 親ゆび2016. 4. 3

 親戚の一回忌の法要で出席予定の叔母が、姿を見せなかった。一人暮らしで、しかも物忘れがひどくなっているせいだった。認知症の初期症状だが、九十歳を超えた私の母は徐々に記憶を失っており、過去の記憶もすべてミックスされてしまったが、進行する認知症は見守るしかなかった。しかし、認知症専門医の話によると、諦めるのはまだ早いようだ。
 親指を刺激することで症状の維持、もしくは言葉数が多くなったなどの改善が見られたという。その方法として、「親指曲げ刺激法」、「親指開いて閉じて刺激法」、「親指タッピング法」がある。(長谷川嘉哉著「親ゆびを刺激すると脳がたちまち若返りだす」)また、何事も自分の頭で考え、新しいことを試そうという意欲と好奇心、そういった感情も脳を元気にするそうだ。親指刺激法は無理だが、この方法を合気道の稽古に取り入れることはできる。
 少年部で、時々、気分転換に行っている、“チャレンジ”は脳に良い刺激を与えていると言える。子ども達に三回のお手本を見せて、それぞれの組で初めての技を再現してもらっているが、一般部にも“チャレンジ”を取り入れたいと思っている。一度見ただけの初めての技を、正確に再現できるかどうかだ。ネット上の動画を見ると、色々な技を見ることができるので、ここでは一人でも実践することができる。技を身につけるというのではなく、脳に良い刺激を与えるという意味でやってみるのも良い。
 初心者に両手取り四方投げを指導していると、つかむ相手の手が逆になってしまい、四方投げにならないことがある。間違えないように、前もって相手のつかむ手を言葉で説明しても逆になってしまうのだが、間違えない人よりも間違える人の方が脳への刺激は多いかもしれない。また、「指をよく動かすことで、脳への血流量が増え、脳の広い領域を活性化し、若返らせることができる」ということも意識しながら稽古し、いつまでも若々しい脳を保っていたい。


合気道光輝会/大畑