[戻る]
■ 武農一如2017. 4. 2

 今年、三人少年部を卒業したが、嬉しいことに一般部で稽古を続ける中学生が二人増えた。少年部では技を覚えることが精一杯だったが、今まで覚えた技を忘れて一から技を覚え直して欲しい。この気持ちの切り替えは必要なことで、これまでの延長のつもりで稽古を続けると、いつかつまずくことになる。
 一般部では、手足の動きだけの技は卒業し、効く技の稽古をしなければならない。相手を崩して投げることや、相手の中心に体当たりしていく姿勢、体当たりされてもはじき返すことのできるようなしっかりとした姿勢を意識して稽古して欲しい。また、お腹に全身の力を集中し、上半身は柔軟に動かし、下半身はいつくことなく軽快に動くように稽古しなければならない。一朝一夕に身につくものではないので、繰り返し、繰り返し、反復稽古をしていくうちにようやく身についてくるものだと思って欲しい。
 今年、もう一つの卒業があった。私事だが、四十二年間務めた会社を定年退職し無職となった。下請け会社への誘いもあったが、これまでできなかったことに挑戦する生活を選択した。それは農業、季節野菜と果樹の実で生計を得られるようになることを目指している。半農半Xという言葉があるが、Xはもちろん合気道。これからの時間を、合気道と農業に費やすことができると思うと会社との別れの寂しさを一日で消し去ることができた。長年望んできた生活を実現できることに迷いはない。
 この半農半Xを実行されていたのは、開祖植芝盛平翁だ。「真の武の道は武農一如、武産合気の生命力生産の実践こそが原点である」と茨城県の岩間町に移り、農業のかたわら合気道の稽古に励まれた。大先生にならって武農一如の生活を実践できる喜びがある。宇宙・大自然との調和を理想の境地とする合気道、農作業のなかから合気道のヒントを見つけることができるなどと大それたことは考えていない。身体をいたわりながら武農一如を実践したいと考えている。