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■ 力を抜く2018. 3. 4

 先月より月二回、剣術の稽古を始めた。今年の演武会に間に合うかどうかは定かではないが、何とか結果を出したいと思っている。剣の持ち方、構え方から始め、右から左に斜めに斬る袈裟切り、逆袈裟切り、斬り結びと進んでいくが、ここが第一関門となる。容易に通過できる人もいるが、斬るという動作のコツをつかむには、かなりの時間を要する。無駄な力を抜くことに加え、剣の刃筋を通すことが難しい。
 大学では合気道と剣術の両方を稽古していたが、二年間はひたすら素振りをさせられた記憶しかない。先輩から、剣というものは剣の重さで斬るものだと教わった。つまり、斬る時は力を入れるなということだが、頭ではその意味を理解できても、剣を振ると力が入ってしまう。剣の重さを意識しながら、素振りを繰り返していくことで、力は抜けていく。
 力を抜くことの意味は、体術よりも剣術のほうが分かりやすい。力が抜けていなければ、速さには勝てない。肩、手首の力が抜けた状態でないと、反応速度が遅くなり相手の剣の動きに対応できないことになる。動作の起こり始めは力が抜けた状態であること、力を必要とする瞬間もあるが、この力を入れた瞬間から力が抜けるまでの時間を短くしていくことが必要だと考えている。
 私が合気道を始めた大学時代は、先輩から徹底的に力を抜くことを教え込まれてきた。今でも合気道の稽古では、力を抜くところ、逆に力を入れるところを意識している。相手を強引に腕力で押さえること、力で投げることは最悪だと考えている。一人一人この意識を持って稽古して欲しい。
 合気道の稽古においては、力が入ると相手にその力が伝わり、防御するため身構えてしまうので、さらに力を必要とすることになる。ひとつの技の始めから終わりまで、力を入れっぱなしではなく、力を抜くところ、力を入れるところを意識し、さらに無駄な力を無くしていく努力をしなければならない。